| ラフレシア。 |
「ぼくの人生で一番の思い出や」
ホテルに帰ったあと、寝る寸前の息子がつぶやいた。
まだ産まれて8年なのに生意気なことを言う。
これからまだまだそれを塗り替える出来事が待っている息子が
少しうらやましくもある。
| ラフレシアを見せてもらった民家。 |
5日ほどしか開花しないラフレシア。
テレビでは「幻の花」なんて紹介のされ方をしていたので
半ば諦めていたのだが、実際はそんなこともなく街のあちこちに
「ラフレシア今咲いています」という看板が出ている。
政府も公式にサポートしているようで、
看板のデザインはどれも同じものだった。
ガイドさんによると、看板を出せる開花基準なども
きちんと設けられているようだ。
我々が向かったのはその中の一件。
ガイドさんが仲間から「一番見ごろのもの」
を聞きつけ、ツアーには含まれないコースだったのだが
立ち寄ってもらえる事になった。
たどり着いたのはオレンジ色の壁が素敵な民家。
犬と5歳と3歳くらいの姉弟が出迎えてくれた。
裏庭に生えているらしく、入口で拝観料を徴収される。
一人30RM(900円くらい)。ペットボトル1本が
1RM(30円くらい)なのを考えるとなかなか高いのだが、
この拝観料を元手にラフレシアを守り、育てているのだろう。
(ネットであとから調べたのだが、見て来た人はみんな
30RM支払っているのでぼったくりではない)
| ラフレシアに見入るの図 |
探検隊のようにジャングルを分け入るわけでもなく、
裏庭に入ってすぐのところにそれはどーんと咲いていた。
あまりに普通に咲いていて、あんなに大きいのに一瞬見逃してしまったくらい。
強烈な匂いがする、と聞いていたのだが匂いはまったくしない。
どうもボルネオ島のものはそういう種類なのだそうな。
狂喜するわけでもなく、息子は意外と静かに見つめていた。
| 枯れたラフレシア。 |
| 開花前のラフレシア。巨大な梅干しのようなつぼみ。 |
そしてすぐそばには枯れたものと開花前のものが。
民家の人が栽培しているのだそうな。
開花させるのには相当手間がかかるらしく、
また一度開花すると枯れてしまうだけで種子植物のように、
次の世代は産まれないので非常に難しいようだ。
だが、貴重な収入源としてそれを育てる人は多い。
実際、庭に入る前に名前を記載したノートには
世界各国のツーリストの名前が刻まれていた。
たった5日だけ咲く花を縁に繋がる世界。
苦労してでも、育てたくなる気持ちもわかる。
ラフレシアは茎も葉も持たない寄生植物で他の木から養分をもらい、
約2年がかりで開花する。
開花している5日の間にハエを媒介にして花粉を運び、
次の世代に紡いでいく。たった5日に全てを懸けて、
どかんと咲き誇り散っていくラフレシアの生き様はなかなか男前だ。
刹那的な雄大さには有無を言わさない説得力がある。
息子の思い出ランキング、それまでの第一位は
ニューヨーク旅行をも退け、およそ2年間、
第一位の座を死守していた「花宇のバオバブ」だった。
ラフレシアはとうとうそれを破り、
息子の人生メモリー第一位に刻まれた。
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